「ねむい」
春瑠は机に突っ伏した
「どした?」
「ねむい マジねむい もー無理 次の授業、離脱する」
「次なんだっけ? あぁ、現国かー てか、寝不足なの??」
「ん 先輩の、なんか…色紙、じゃないけど、書いてたら遅くなって…」
「あー…そういえば、もうすぐ卒業式だねぇ」
んー、と久司に対し、返事なのかそうでないのかを返す春瑠は既に夢の中である
「俺たちも来年の今頃は、卒業なんだねー」
応答なし。
久司はくすっと笑って、おやすみ、と春瑠の頭に、ぽんぽんと軽く触れる。
***
「わーい!! いっただっきまーーーーす!!!」
パキン、と割り箸を割って、隼人は丼をかき込む。
「そういえばさー、午後から予行演習だっけ??」
「あー…じゃあ、ちょっと早めに教室戻らないだな」
「それにしても、今時歌うんだね、蛍の光」
「卒業式の定番っちゃあ定番だもんねー」
勢いよく丼をかき込む隼人を余所に、湊都と凌と久司は午後の話を始める。
「やっぱ卒業生は歌うのかなぁー、仰げば尊し」
「当然といえば、当然だけど……」
「捻りない、って??」
「うん」
「まぁ、オエライ人の考えることなんて、そんなもんじゃねーの??」
「そうかなぁー……って春瑠??」
久司は自分の隣で、丼に顔を突っ込みそうになってる春瑠に気付いた。
「ふはー ごちそーさまでしたぁー…ってはるはる寝てね??」
「春瑠、起きろー 行儀悪い」
「今日ハルずっとこんな調子なの?」
「んー…3限あたりからこんな感じかなぁー なんか昨日、遅くまで作業してたとかで…」
「作業?? 宿題かなんか??」
「いや、卒業生に渡す、色紙…かなんかっぽいよー…って春瑠!!あぶないあぶない!!」
丼に顔を突っ込む寸での所で久司は春瑠を食い止めた。
「ん あー…ここどこ??」
「起きた」
「食堂だよ お昼、食べないの??」
「…食べる」
春瑠は割り箸を割り、丼を食べ始めた。
「つか、春瑠 何時に寝たの?? 昨日」
「…1時」
「あーそりゃ眠いわ 普段、11時とかに寝てんでしょ??」
「ん そう」
「いつ聞いても凄いよね ハルの就寝時間」
「凌は1時2時まで起きてんだっけ??」
「気付いたらそんな時間かなー」
「俺も!!俺も気付いたらそんな時間!!」
凌の隣に座って居た隼人が先生聞いて!!と言わんばかりに身を乗り出す。
「にしてもー、はるはる、寝不足すぎだよー たかだか1時に寝たくらいで大げさなんだからぁー」
にゃははーと笑いながら、隼人は目の前に座る春瑠の頭を突く。
すると、春瑠の手が止まった。
「あぁ?! うっせーよタコが だまってろ」
…
…
…
しばしの沈黙。
春瑠は再び、食事を再開。
隼人は軽く、涙目になる。
凌、久司、湊都はあーあと呆れかえる。
「はるはるが怒った…」
「今のは隼人が悪いよ」
「なんで?! なんで俺のせい?!」
「春瑠の寝起きが悪いのは今更だし」
「触らぬ神に祟りなしって言うからねぇー…」
…
…
昼食を食べ終えた春瑠はふぅ、と一息ついた。
そして何事もなかったかのように立ち上がり、食器を返しに行った。
「そして、覚えて無いから性質悪い」
「凄いよね、ほんと」
「予行演習、寝ないといいけど」
「春瑠だけじゃなくて、隼人もね」
「お、おれ寝ないよ!!」
「わり 待たせた」
「じゃあ行きますかー ハル、寝ちゃダメだよ」
「おー ガンバリマス」
「頑張る気、ゼロじゃん」
「いやいや、そこそこある って、なにしてんの、隼人 久司の後ろに隠れて」
「やっぱ覚えてないんだ」
「ほんとこえー」
「…なにが??」
なんでもない、と4人がハモったのは言うまでもないお話。
<2009.03.22 お粗末さまでした>