「しのしのー!! あけおめー」
     「…あけおめ」
     「ちょ、新年早々テンション低っ!!」
     
     
     
     校舎手前、150メートルのところ(もちろん、坂の途中)で、凌は隼人にナンパ…否、声をかけられた
     
     
     
     「ハヤトのテンションが異常に高いだけで、別に普通だよ」
     「えー…俺、きょーわりとテンション低めだよー」
     「……十分高いよ」
     「? なにか言った?」
     「いや、なにも」
     「そっかー」
     「うん ……そういえば、珍しいね」
     「なにがー?」
     「ハヤトが休み明けに宿題見せてーって言わないのが」
     
     
     
     ……
     ……
     ……
     
     
     
     「わすれてた!!! っ、見せて!! しのしの!!」
     「えー」
     「お願い!! 英語、ちょっと残ってんの!!! 殺されるぅー!!」
     「前もってやらないから、毎回毎回こうなるんだよ …、はい」
     「しのしのー!! だいすきー!!」
     「高いよ?」
     
     
     
     凌は隼人に英語のテキストを渡しながら、にこやかに微笑んだ。
     
     
     
     「ありが……え?」
     「…早く行かないと写す時間、なくなるよ?」
     「え? あー!! もうこんな時間?! し、しのしの、マジでありがと!!!」
     
     
     
     慌ただしく、隼人はテキストをカバンの中に入れ、自転車の漕いだ。
     凌は次第に小さくなる隼人の背中を見て、やれやれと言いたげに息をついた。
     
     
     
     「やっぱり忘れてたみたいだな」
     「ぅわっ、ミナト!!」
     「つまんねー 全員正解じゃん」
     「ハル?! え、ヒサシまで…」
     「ごめん、凌 悪いと思いながらも後ろでこっそり、ね」
     
     
     
     湊都、春瑠、久司の3人は、先程の隼人と凌の一連の遣り取りを後ろでこっそりと見ていた。
     それはもう、隼人が凌に声をかけるところからずっと…。
     
     
     
     「要は最初からずっと居たってわけね 声かけてくれれば良いのに」
     「いやいや、邪魔するわけにはいかないから ね?」
     「そうそう」
     「あ、予鈴…」
     「ホント」
     「…行きますか」
     「そうだな」
     「じゃあまた」
     
     
     
     04人はそれぞれ、教室に向った
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     <2009.01.08  お粗末さまでした>